「不苦」があってこそ人生 その1
書きたいことは山程在るのですが、最近あまり時間がとれないので、今回はブログ用ではなく、うちの神社で発行している会報2月号の原稿記事をそのまま掲載させていただきます。若干、宗教的な色合いが強いかも知れませんがどうか御容赦賜りたいと思います。
「不苦」があってこそ人生
正月の種々の行事も終わり、二月の声を聞くと間もなく節分を迎え、さらに立春という暦の上では大分春めいた日がある。
しかし、気候的、気温的には冷たい雨や雪の降る日もあり、寒波、寒風の荒れ狂う季節でもある。随って二月、この月を如月「衣更着」とも呼ばれ、遠い昔からこの月は寒かったのであろう。
だが、厳寒の月のうちにも春の息吹と共に春の足音も、もうすぐ其処まで来ているような、時には梅一輪、梅一輪の暖かさの日もある。
そう、信仰は夏は涼しく、冬は暖かい心行きで過ごしたいものである。
この世に生かされる人の幸福の基は家庭の温かさであろうと思う。
「骨肉の争い」などの言葉が現代ではよく使われているが、これなどは非常に醜いことで、人は神の分身でありながら「下の下」の、最低の人と云う外はない。
人の幸福の基は家庭から。善き人生も、悪しき人生も、その善し悪しに依って分かれてくる。
故に、敬神崇祖の念を深め、家族が心を合わせ、忙しい中にも暇を作り大自然、即ち神様への奉仕を通じ御教示(みおしえ)に帰することで、感謝と報恩の気持ちは深められ、家庭に於ける朝な夕なの神拝の積徳、清い心で仕事に就き、安らぎの心で眠りに就けるのである。
それこそが二十四時を一層意義あらしめ、正しく、美しい人生を創りあげていくことが出来る根本である。 夭(わかい)と屰(ぎゃく)が幸の本字だそうである。
大自然、「親なる神」は私たち人類を始め、この世に於ける全ての物を愛し給うて居られ、「誠の心」を持ち、恵みお護りくだされるのである。
また、祖先は見えざる力を添えてお助け下さるもので、上を敬い、祖先を尊び、子孫を愛することに依って幸福の基が育て上げられる。要するに神仏のご加護を戴いて、家庭は円満に治まり、子孫まで正しく栄えて行くことが出来る由縁である。
円満には少しも角がない。つまり角突き合いも出来ない、争いが生じない。
いつでも和やかな心、明るい心で親切で、思いやりのある心、有難うと云う心、すみませんと云う心、感謝のあふれる家庭には悪魔も病魔も、貧乏神も入る隙もない。
随って伸々とした心が伸心(=信心)で、至って健康な身体で居られるのである。
元来、神事、神祀り、或いは昔からの行事は人間の全人格を統一する尊い道で、真に人間らしい人間として生きる為に為さねばならぬ大切なものであると思う。
で、在るけれども今の世では神棚も祀らぬ家庭が多いと見聞する・・・。
その家、その人の末路を考えると気が気でならない・・・。だが、現代では様々な観点から、止むを得ない事であり、他人のことで疝気を病んでも致し方ない。いずれにせよ、昔から繋がってきた尊い祀事も現代では「簡単」、「略式」・・・それ等はまだ良い方で、「やらない」、「面倒くさい」、「照れくさい」で済ませてしまう人が多くなって来たようで、節分の豆撒きなどもせぬ家もある。
・・・・・・・・書いてみると長いですね。という訳で無理矢理分けて、次回に続きます。
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コメント
かついちさん、こんばんは。
コメント有難う御座います。
レスポンス遅れまして失礼致しました。
秋篠宮妃紀子様の御懐妊の報せ、本当に嬉しいですね。
まさしく、「このタイミング」という時期でのご報告だけに慶びも一入ですね。
最近は「年始のお詣り」もされない方も多いので昇殿し、正式参拝を毎年されるというのは、大変結構なことですね。
是非その思いをご家族だけでなく、周りにいらっしゃる方々にもお伝え頂きたいと思います。
投稿: 管理人 | 2006年2月13日 (月) 02時24分
まず、本記事とは関係ありませんが、秋篠宮妃紀子殿下のご懐妊の知らせを聞き、私も彼女もとても喜んでいます。皇室のことですが、なぜか我々まで嬉しくなるのは、やはり皇室と国民の間には心の奥深いところでつながっているからなのかな、という気がしております。まずはおめでとうございますと、申し上げたいと存じます。
本題に入りまして、我が家でも最近は年中行事といえば年末の餅つきと年始の初詣ぐらいしかやらなくなりました。家族がそれぞれ独立してそれぞれの生活を持つようになると、どうしてもまとまる機会が少なくなります。でも、私は一つだけ自分自身と家族のためにやっていることがあります。
それはひたすら祈ることです。年始には必ず家族の幸せをお祈りするため、昇殿拝礼をさせていただきます。
父が亡くなった後、一家の柱が欠けて家族のバランスが崩れてしまうのでは、という危機感から私自身に課した義務と思って10年、毎年年始には欠かしたことがありません。
年中行事を行うことが非常に少なくなりましたが、日本の伝統文化を守り育て、次世代につなぎたいという思いは持っています。私に新しい家族が増えたときにはきちんとその思いは伝えていけたらいいなと思います。
投稿: かついち | 2006年2月 9日 (木) 08時35分