2005年11月18日 (金)

教育勅語とナショナリズム

前回、ナショナリズムについて触れ、私なりに思うところがありまして、今回は教育勅語に触れてみたいと思います・・・。長文になりますがご容赦ください。

朕惟フニ 我カ皇祖皇宗 国ヲ肇ムルコト宏遠ニ 德ヲ樹ツルコト深厚ナリ

我カ臣民 克ク忠ニ 克ク孝ニ 億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ

此レ我カ國體ノ精華ニシテ 教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス

爾臣民 父母ニ孝ニ 兄弟ニ友ニ 夫婦相和シ  朋友相信シ

恭儉己レヲ持シ 博愛衆ニ及ホシ 學ヲ修メ 業ヲ習ヒ 以テ知能ヲ啓發シ

德噐ヲ成就シ 進テ公益ヲ廣メ 世務ヲ開キ 常ニ國憲ヲ重シ 國法ニ遵ヒ

一旦緩急アレハ 義勇公ニ奉シ 以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ

是ノ如キハ 獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス 又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顕彰スルニ足ラン

斯ノ道ハ 實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ 子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所

之ヲ古今ニ通シテ謬ラス 之ヲ中外ニ施シテ悖ラス 朕爾臣民ト倶ニ 拳拳服膺シテ

咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

明治二三年十月三十日

 御名  御璽

この文を私なりに訳をしてみました。

教育勅語(私的現代口語文訳)

私は、昔、私達の祖先が大志と理想を持ち、この日本という国をお開きになったものと信じます。

それからというもの国民は、深く道徳を考え、それを生活のあらゆる面に根付かせ、真心を持って祖国に尽くし、人を大切にして心を一つにし、今日に至るまで先祖代々受け継いできた美しい美風を育んで参りましたことは、日本の優れた国柄の賜物であるといわねばなりませんが、私は教育の根本もまた、ここにあると信じます。

国民の皆さんは、父母を大切に敬い、兄弟姉妹は互いに力を合わせ助け合い、夫婦は心を通わせ支え合い、友人は友情を育み信じ合い、そして己の身を常に慎み、決して驕り高ぶらず、学問を怠らず、職業に専念し、新しい知識や能力を存分に発揮し、立派な行いができるように心がけ、進んで世の中の為に貢献し、国民として憲法、法律や秩序を守ることは勿論のこと、非常事態が発生した場合には、正義を心がけ、勇気を奮い、真心を捧げて、一丸となって国の平和と安全に奉仕しなければなりません。

そして、これらの教えを善良な国民としてよく守ることは、立派な日本国民であるばかりでなく、私達の祖先が今日まで身をもって示し残された伝統的な美風をしっかりと受け継ぎ、これから祖国を担っていく子孫達に正しく伝えていこうと、心に留め生きている証でもあります。

このような国民の歩むべき道は、神話の時代から続く、私達の祖先が残された教訓であって私達子孫が守り遵わねばならない所であると共に、この教えは昔も今も、将来にわたって変わらぬ正しい道であり、日本だけでなく、世界のどこへ行っても間違いのない人の道でありますから、私もまた国民の皆さんと共に、祖先の教えを胸に抱いて、徳を積み、人格を高め、謹んで踏み行い、立派な日本人となれるように、心から念願するものであります。

明治二三年十月三十日

 ご署名 御印

マレーシア独立の父でラジャー・ノンティック氏という方がいらっしゃいます。

彼が日本人の現状を知り一遍の詩を残されています。

かつて 日本人は 清らかで美しかった

かつて 日本人は 親切で心豊かだった

アジアの国の誰にでも 自分のことのように 一生懸命つくしてくれた

これらを読んでかつてこんな日本があったのか、という嬉さと誇りがわいて来ました。

それと同時に今の日本がとても恥ずかしく、そして情けなくなりました・・・。

偏狭で排外的なナショナリズムではなく、ただ単純に「日本人として失われた精神の高潔さ」を取り戻したいと心から思うのです・・・・・・・・・・・。

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2005年11月13日 (日)

今の日本人に求められるナショナリズムとは・・・

先日、拙ブログでも取り上げた「国家の罠」(新潮社2005年)。

その後、発刊された佐藤優氏の「国家の自縛」(産経新聞社2005年)を読みまして・・・。

この佐藤優さんという方は同志社大学の大学院神学研究科卒でありまして、私とは畑が違いますが同じ、神学の研究者という共通項があります。

人物的にも大変興味深く、私とは比較にならないほどの知識量と深い見識、造詣をお持ちでらっしゃいます。

しかし、この「国家に自縛」を読み、考えるプロセスに大きな違いはありますが、結論が同じ、もしくはかなり近い見解にいたる部分があり、それについて引用をさせて頂きながら、私の考えを述べて行きたいと思います。

P76~77

戦後、日本人は国家のあり方、伝統的言葉で言うならば国体に関する問題を放置しすぎた。そのために無責任なコスモポリタニズムと危険な排外的民族主義への言説の二極分解が生じています。 ~中略~ 弥縫策で負のエネルギーをため込むよりも、この辺で小泉首相が正々堂々と靖国神社を参拝し、正面から中国や韓国と対峙することを通じて、日本国家がどのように近隣諸国と付き合うべきかを徹底的に考えた方が良いと思います。そこから日本国家のあり方、つまり国体を日本人が真剣に考え、「誠心」を見出すなら、中国や韓国の名誉と尊厳を担保しつつ、日本の名誉と尊厳を維持、発展させる道を見出すことができると私は信じているんですよ。

この部分には全く以って共感しました。私も日頃、講演をする時によく言うことなのですが、「靖国問題は本来、『外交問題』ではなく『ドメスティックな宗教問題』であると思う。参拝に反対されている国々は大雑把な括りではあるが、いわゆる『大陸系儒教』の国々であり、日本の『神仏』、神々と仏が混在する宗教観とは相計ることのできない存在である。である以上、この問題に対しては日本政府が誠実に、そして徹底的に説明を続け、理解を求める以外に解決はない。それができなければ、いつまでも国内に於いて混乱を招くようなナショナリズム議論も解決しないし、不要に批判的な国々を刺激し続けるだけだ。」と思います。

P82

冷戦終了後、グローバリズムという名の下で米国一極主義が勝利したかの如く見える。しかしグローバリズムを徹底的に純化することはできない。そこには超えることのできない民族/国家、そして文化の壁があるからだ。グローバリズムは虚偽の意識体系である。従って、それに反発するアンチグローバリズム運動も深い所で現実に影響を与えることはできない。

繰り返しになるが、この世界の基本構造は、ネーション(民族/国家)を基礎とするインターナショナリズム(国際主義)である。個人は民族/国家を媒介として世界に至るのである。従って、ほんとうの愛国者が国際人になる。日本国家、日本人に対する心底の愛がないならば、そのような人は国際社会でまともな相手にされない。

この部分に関しても以前、講演を行った時に「一人の人間が国際社会に出て行くとき、恐らく『貴方はどこの国の人ですか?』とか『どこから来たのですか?』と聞かれるでしょう。仮に『貴方の国はどんな国ですか?』と聞かれた時に、自分の生まれ育った国を誇れないような人間が果たしてそういった場面で通用するだろうか。国際社会に於いて日本という国家、そして我々日本人が生き残っていく為には、単純に国際情勢に長け、国際感覚に優れた『国際人』を育成していくのではなく、自らが生まれ育ったこの国を、自分たちの祖先が築き上げてきたこの日本を、世界のどこへ行っても誇れるような愛国心を持った『国際的な日本人』を創り上げていくことが必要である。」と述べたことがあります。

外交に対する見識や諸々の知識量など、まぁ、佐藤氏と私では同じ土俵には上がれないほど大きな差はありますがある意味、畑は違っても同じ神学を学び日々造詣を深めるための努力をするもの同士ということなのでしょうか・・・。

しかし佐藤氏と私の何よりの共通項は二人とも「日本人」であり、「この国を愛する、愛国者」である、ということなのかも知れません・・・・・。

興味をお持ちの方は是非、「国家の自縛」(産経新聞社2005年)読んでみてください!!

面白いですよ!!!・・・・・・・・・・・CMみたいかな?(笑)

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2005年10月26日 (水)

読書のススメ!!「国家の罠」

以前、喜八さんのログで紹介していただいた佐藤優氏著「国家の罠」(新潮社2005年)。

今年の3月に発売された本であります。

読むのに手間取ってしまい、「取り上げるの遅すぎっ!」というお声が聞こえてきそうですが・・・・。

以前から「衆議院議員 鈴木宗男氏」には興味を持っていたのですが、「疑惑のデパート」といわれた以前の事件について浅学でありましたので、この本をご紹介してくださった喜八さんには感謝、感謝であります。

いやぁ・・・・。とにかく面白い。

この事件の当事者に一人である著者がご自身の体験をもとに著されたノンフィクションであります。

一人の有能な外交官が「背任」と「偽計業務妨害」容疑で逮捕され、512日間の拘留を経て第1審判決「懲役2年6ヶ月、執行猶予4年」となる・・・。

ご自身の外交官としての「対ロシア外交」に於ける働きから「鈴木宗男事件」に於ける「国策捜査」。そしてご自身の逮捕、そして拘留生活と読みどころ満載でした。

面白すぎて、「これ、本当かよっ!」と突っ込みたくなること請け合いです。

「鈴木宗男氏」や「田中真紀子氏」など現在も実際に国会で活躍されている議員の方々も題材に含まれ、国益や外交政策の在り方、更には登場される方々の人間性、生き方にまで考えさせられた一冊です。

ご興味をお持ちの方は必読の一冊です!

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